自分を傷つけた人を許してあげるのです。

親鸞聖人は鎌倉時代の承久の変で越後に流罪となりました。それは後鳥羽上皇のお世話係の女性が浄土宗に入信したのがきっかけでした。「上皇様、世話係の女が法然のとこに出入りしています。どうしましょうか?」「なにーーそれは許せん。法然たちを流罪にせよ。」もちろん、法然上人も土佐の国に流罪となりました。しばらくして後鳥羽上皇が天下取りに敗れ、隠岐の島に流罪となりました。無常ですね。その時です。法然上人の弟子の聖覚が上皇に「唯信鈔文意」を説教して、浄土宗に入信し、極楽浄土にいったのです。

 どうですか皆さん。自分たちを傷つけた人を救ったのですよ。皆さんもこのことを知らず知らずのうちに、しているはずです。「あいつ、おれのことを馬鹿にしやがって、倍返しにしてやる、」といっても「あいつも何かつらいことがあるのだろう。」と許していませんか?許しているはずです。

 わたしもそうしてるんですけど、今度も、そうにしようと思っています。このように自分を傷つけた人を許す、すなわち、仏の心を持ちなさいといっているのです。「小さな生き物を大事に、人の心をきずつけない。死ぬのをわきまえなさい。人を許す。」広い、広い仏の心を持ちなさいといっているのです。